この記事は2011年12月23日に「こまき無答塾」に書かれた記事「これからの議場」を Bing検索のキャッシュ から復元→アーカイブ化したものです(アーカイブ方針



11月26日に「心に響く校歌 心に残る校歌」というタイトルの記事を書きました。「齊藤甲馬と宮代 世界どこにもないまち創る(齊藤甲馬の本政策委員会編)」という本に掲載された埼玉県南埼玉郡宮代町立笠原小学校」の心に響く校歌などについて記述したものでした。

=齊藤甲馬と宮代(齊藤甲馬の本製作委員会 編著)=
IMG_0098のコピー.jpg


 この本の「はじめに」には次の文章が記載されています(以下「はじめに」引用はじめ)
 関東平野のまんなかに齊藤甲馬という名物町長がいた。昭和30年(1955年)、宮代町誕生と共に町長となって、昭和57年(1982年)に没するまでずっと宮代町長だった。合併前の百間村の町長時代から数えると、31年にわたって政治の道を歩むうちに、「ユニークな町長」「気骨と先見性の独裁者」「町の一人ひとりに向き合う人」「時代遅れのようで先を見据えている人」「教育を重んじる人」などと言われるようになる人物だった。そして、「給食なし、部課長なし、低層のまち、自立型のまち」等々の甲馬流行政は全国から視察団がやってくるほどだった。・・・(以上、引用終わり)

 この町の議会の議場が素晴らしい。町議会のホームページには、「よくある質問」の欄に傍聴について次のように記載されている。(以下、「よくある質問」引用はじめ)
Q:町の議会はどこでやっているのでしょうか?
A:本会議は、役場隣りの「コミュニティセンター進修館」の「小ホール」で行っています。議場は常設ではなく、普段、市民活動の場としていただいている「小ホール」を議会開催中に議場として使用しています。国会の議場とは違い、机を円形に組んで行われるので、めずらしいという声も頂いています。ぜひ、議会の傍聴にお越しください
。(以上、引用終わり)

=議場の様子(本の113ページより)=
IMG_0105のコピー.jpg


 この宮代町コミュニティセンターである「進修館」は、昭和55年(1980年)にオープンしましたが、設計者(象設計集団)に対する町の要求は、「議会専用はいらない、円卓がいい」ということであったそうです。
 町議会が円卓であることも凄いですが、「町議会専用の議場はいらない」という考え方に感服いたしました。

 地方議会の一般的な本会議場は、「分厚い絨毯」が敷き詰めれら、「立派な演題や机」が固定され、「傍聴席を含めると2階~3階」の吹き抜けの構造になっています。
 しかも、年間を通じて本会議場として使用するのは多くても30日足らず・・・。さらに、年間を通じて利用される日が少ないだけでなく、本会議場が立派なゆえに「傍聴する市民には敷居の高い場所」と勘違いし、本会議場が立派なゆえに「当選した議員には権威が集う場所」と勘違いするかも知れません。

 この本を読み、市民を何時も集い利用するコミュニティセンターの「小ホール」を、議会開催中のみ議場として利用するという、齊藤甲馬氏の発想に、ただただ感心いたします。「これからの議場のあるべき形」を、30年も前に提案された、素晴らしい発想に・・・