この記事は2013年06月30日に「こまき無答塾」に書かれた記事「何故、地方議会の重要な役割を市民に説明しようとしないのか!」を Internet Archive から復元→アーカイブ化したものです(アーカイブ方針



6月28日に開催された小牧市議会の「議員定数等検討委員会」を傍聴いたしました。傍聴した市民は私一人です。
 同委員会については、4月18日に「魂胆が見え見えです」、4月19日に「議員報酬引上げと定数削減を交換するな(魂胆が見え見えの続き)」、5月23日に「小牧市議会は議員間討議をすることを放棄しました」というタイトルで報告いたしました。

 当日が4回目の委員会でしたが、検討内容を取りまとめ、川島議長への答申(9月末まで)する内容の骨子が次のようになると判断いたしました。
(1)平成23年7月議会で可決した「議会の議員の議員報酬等の特例に関する条例」を平成26年第1回定例会(3月議会)で廃止する⇒⇒⇒同条例により、平成23年8月から実施している議員報酬の10%削減を平成26年3月で取り止め、4月から以前の報酬額に戻す
 これにより、来年4月から、議長の報酬は月額536,400円⇒月額596,000円、副議長の報酬は月額480,600円⇒月額534,000円、議員の報酬は月額453,600円⇒月額504,000円となります。

(2)同3月議会で、「小牧市議会の議員の定数を定める条例」を併せて改正し、現行の議員定数28名から3名削減し25名とする

 平成23年7月の臨時議会(私はこの日の議会を「茶番議会」・「ドタバタ議会」と呼んでいますが・・・)で、議員報酬を「当分の間、1割減とする」こととしましたが、平成24年3月28日に開催された「小牧市特別職報酬審議会」は、「市長・副市長の給与と市会議員の報酬は現状額が適当」という答申をしました。
 「現状が適当」ということを分かりやすく言えば、「議員報酬を1割削減するとした先の議会の判断は間違っている」、「議員報酬を元の金額に戻しなさい」ということであります。

 私は1年も前から、「特例条例を廃止し、議員報酬を元の金額に戻すべきだ」と、議員の方に主張して参りましたので、「答申から2年後に、議員報酬を元に戻すのは遅すぎますよ」と言いたい気分です。

 何故、小牧市議会は議員報酬を元に戻すことを躊躇し、遅れてしまったのでしょうか?
 また、議員報酬を元に戻すことと、議員定数を3名削減することとをセットにしてしまったのでしょうか?

 私は次の2つの大きな力が影響していると判断しています。間違った2つの大きな力が・・・。

(1)小牧市議の大勢は「間違った市民の声」を気にした
 この「市民の声」は、二元代表制度下における地方議会の重要な役割を認識しようとしない市民の声」であり、小牧市議1人1人が地方議会の重要な役割を市民に説明してこなかったために生じた市民の声」であります。
 「議会改革は、議員定数と議員報酬を削減することだ」、「そうすれば、市町の歳出を削減することが出来る」という間違った市民の意見を気にしたのです。

(2)小牧市議の大勢は「間違った市長マニュフェスト」を気にした
 山下市長平成23年2月の市長選挙にあたり、マニュフェストに大きな字で「議員定数3分の2への大幅削減要請」と記載しました。
 私は、選挙前に開催された懇談会の場で、山下市長(当時候補)に、「議員定数3分の2への大幅削減と記載することは、議会改革について市民をミスリードすることになる」と直接訴えました。
 しかし、この訳の分からない市長を支持する牧政会と、それに同調する小牧市民連合の議員は、「議員定数について、少しでもマニュフェストに近づけた方が良い」と判断し、「議員定数等検討委員会」を設置し、9月末までに川島議長(小牧市民連合)に答申するよう決めたのです。
 
 こうして、「認識不足の市民の声」、「説明不足により生じた市民の声」、「議会改革に対して正しい認識を有しない市長のマニュフェスト」、「二元代表制度下の議会の役割に対して正しい認識を有しない会派の議員」を背景にして、「議員報酬だけを元に戻したら(現状より報酬を上げたら)、市民の理解が得られない」ということを前面に打ち出して、「議員報酬を元に戻す代わりに、議員定数を3名削減する」という結論に至ったのです。
 まさに、最初から魂胆見え見えの「議員定数等検討委員会」でした。
 
 議員定数削減数に関しては、牧政会(12名)は3名減小牧市民連合(6名)も3名減公明党小牧市議団(3名)は2名減無会派(水谷・舟橋議員の2名)は2~3名減(最低2名減)を主張されました。
 勿論、削減する根拠を明らかにしないままで・・・
※日本共産党小牧市議団(3名)と無会派(伊藤茂・小林議員の2名)は、削減する必要なないと主張されました

 「議会改革イコール議員定数・報酬の削減」と、多くの市民が誤認しているのは、メディアのミスリードと、一部の首長のポピュリズムの影響であります。
 議会改革を一言で言えば、「二元代表制度下において、議会に与えられた本来の役割を十分に発揮できるような議会にすること」であるにも関わらず・・・。

 議会改革に対して、間違った認識を持っている市民の方は、「議会は何をやっているか分からない」、「そんな議会であれば、議員定数や報酬を削減すれば、歳出削減の効果が出る」と判断されていると思います。
 しかし、議会の本議会や委員会も傍聴しないで、「議会は何をやっているか分からない」というのは、自分自身にも問題でもあるのです。
※「議員定数・報酬を削減すべき」という認識を持っていれば、「議員定数等検討委員会」を傍聴すべきです。

 また、「定数や報酬の削減で歳出削減が出来る」という考えも正しくありません。それよりも、議会が本来の役割を果たした方が、遥かに上回る歳出削減効果があると、私は判断しています。
 具体的な事例を挙げれば、小牧市議会が、もし犬山市議会議員のレベルの方で構成されていたとするならば、プレミアム商品券発行助成事業については、平成23年度の6,600万円の予算については、「市長就任祝い」として認めたでしょうが、平成24年度・平成25年度の予算合計2億6,000万円については認めていない(予算案を修正可決した)と確信しています。
 議員に関わる歳出削減効果より、それを遥かに上回る歳出削減効果が出来たということです。

 山下市長が認識を改めることは期待出来ませんが、市民の認識を改めることは可能だと思います。
 それは、「議員定数・報酬を削減すべき」と大きな声を上げる市民に対して、議員は聞くだけで、「いやいや、地方自治において議会・議員は、このような重要な役割を担っているのですよ」、「議会・議員が本来の役割を十分に果たすことこそ、小牧市の歳出削減に繋がりますよ」等々の説明をしていないのであります。
 こうした説明責任を果たさないで、やみくもに「市民の声が・・・」と発言するのは、議員としての責任放棄であります。

 一方で私は、「現在の28名の議員は、報酬に見合う役割を十分に果たしている」、「28名の議員は議員としての資質を十分に備えている」などとは、全く思っておりません
 しかしながら、「小牧市議会は議会改革を先行すべきだ。それまでは安易に議員定数や議員報酬の議論をすべきではない」と判断しているからであります。
 そして、議員定数を減らすことが、議員のの資質向上に繋がるとも全く思っておりません。
 議員の資質向上は、議員間の自由討議、理事者との深い質疑、市民との活発な意見交換などを通じて生まれるものであり、1日も早くそうしたことが日常的に行われる小牧市議会であるべきだと判断しているのです。

 3月に設置された上記の「議員定数等検討委員会」は、その設置理由や目的を市民に明らかにすることなく、非公開の代表者会で決定されました。
 そして、市民の意見を聞くこともなく、川島議長に答申書を提出するのです。
 このことは、「情報公開」「市民参加」「議会機能強化(議員間の自由討議・議会基本条例の制定)」を3本柱とする議会改革について、小牧市議会は程遠い状態にあるということであります。
 
 小牧市議会の「議会改革委員会」は、2月8日を最後として、5ケ月近く開催されていません。課題が山積みであるにもかかわらず・・・。
 その原因は、「議員定数・報酬については、議会改革の本丸ではない」として、「議会改革委員会ではなく別組織で検討しよう」ということで、「議員定数等検討委員会」を設置したのです。
 それにもかかわらず、「議員定数等検討委員会」の開催にかまけて「議会改革委員会」を開催していないのです。
 このことについて、私は、議会改革委員長の伊藤宏行議員(小牧市民連合)をはじめ委員の皆さんに厳重に抗議いたします。

 小牧市議の皆さん、支持してくれる市民から「議員定数や報酬を削減すべき」と言われたら、懇切丁寧に説明し、考えを改めるように説得して下さい。
 説明力・説得力も、地方議員として有すべき重要な資質でありますから・・・

★コーヒーブレイク
 あくまでも私の判断ですが、議員定数が3名減って25名になっても、さらに8名減って20名になっても、組織力からみて、公明党小牧市議団と日本共産党小牧市議団のそれぞれ3名は変わらないと思っています。
 25名になった場合に、現行3名から1名減って2名になる可能性が高いのは民主党(会派としては小牧市民連合)だと思います。

 当日の委員会では、会派代表者だけでなく、委員長(玉井議員)を除く13名の委員全員が、すったもんだの末に、発言することとなりました。
 最大会派の牧政会は、会派としての削減案は3名でしたが、12名の中には「削減しなくてよい」が3名いたそうです。また、「2名削減でいい」と主張する議員もいたそうです。
 以前に「会派は怪派である」、「やっぱり会派は会派です」というタイトルのブログを書きましたが、委員会を傍聴して、「やっぱり、やっぱり会派は怪派でした」ということです。

 犬山市議会の6月定例会においては、第57号議案(業務委託協定の締結について)は、経済建設委員会(久世高裕委員長)においては、4対3で否決されました。(賛否同数で委員長採決により)
 ところが、最終日の本会議においては、委員会の採決とは異なり、12対7で可決されました。
 私は、ユーストリームで、同議案に関する議案質疑委員会における質疑・討論本会議における質疑・討論を視聴いたしました。
 最終議決云々は別として、同議案に対する議員個々の質疑や討論が十分に行われたと判断しています。
 そして、何よりも最大会派の清風会(9名)の内、4名の議員の方が賛成4名の議員の方が反対されました。(堀江議長を除く)
 この様子をみて、「犬山市議会では、会派としての判断ではなく、個々の議員の判断で行動するのだ」ということを知りました。
 こうした状況をみると、「会派は会派である」と言えるのでしょうね。
さらに、議会と理事者が緊張感を持って対峙・協力することは、議員力の向上、職員力の向上に繋がると確信いたしました。