この記事は2013年08月31日に「こまき無答塾」に書かれた記事「「議決事件」に係る小牧市の課題」を Internet Archive から復元→アーカイブ化したものです(アーカイブ方針



今日のブログは、私たち小牧市民にとって非常に難しい課題ですが、私たち小牧市民にとって非常に重要な課題でもありますので、皆さんと一緒に考えたいと思います。
 なお、読者の中には地方自治法に詳しい公務員の方や、地方議員の方もいらっしゃると思いますので、私の誤認に基づく記述がありましたら、どうぞ遠慮なくコメントでご指摘いただいきたいと思います。

★議決事件とは?
 「議決事件」という言葉については、聞きなれない言葉ですが、当ブログで度々取上げています北海道栗山町議会のホームページ掲載されている「議会用語集」の中で分かりやすく解説していますので、以下に引用させていただきます。(以下、引用)
議決(ぎけつ)
 議会の最も基本的・中心的な権限で、個々の議員の議案に対する賛成か反対の意思表明による議会の意思決定のことを議決といいます。
 可決するには、出席議員の過半数が原則となります。議案の内容により可決、否決、承認、認定、同意、採択、不採択などの呼び名があります。
 なお、議会が議決しなければならない事項(条例の制定・廃止や予算を定めることなど)を議決事件といいます。
(以上、引用終わり)

 行政組織が「執行機関」と言われるのに対して、議会は「議決機関」と言われますが、議会の最大の役割は「議決」をすることですね
 そして「議決事件」とは、「議決事項」という意味なのですね。

★議会には、どのような「議決事件」があるのか?
 地方自治法第96条第1項には、「普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない」として、15項目を挙げています。
 私たち市民に馴染みがあるの代表的な項目は次の通りです。
1.  条例を設け又は改廃すること。
2. 予算を定めること。
3.  決算を認定すること。

※4.~15.は省略します

 さらに、96条第2項では、「前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものを除く)につき議会の議決すべきものを定めることができる」と定めています。
 
 本日のテーマは、まさにこの96条第2項に係る事柄です。私たち市民にとって難しい問題ですが・・・。

★総合計画に係る地方自治法の改正
総合計画
img148.jpg 左の図は、第6次小牧市総合計画書の10~11ページに掲載されたもので、総合計画の構成を示したものです。
 ご覧いただいた通り、総合計画は、「基本構想」⇒⇒「基本計画」⇒⇒「実施計画」の三層構造となっています。

 総合計画は、地方自治法第2条第4項の「市町村は、その事務を処理するに当たっては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行うようにしなければならない」の規定に基づき、地方自治体においては、その基本構想を議会の議決を経て、策定することが義務付けられた自治体の最上位に位置付けられた計画でありました
 しかし、平成23年8月に地方自治法が改正され、第2条第4項が削除されました。
 
 地方自治体の対応の選択肢として次の3つが考えらるられます。
1.総合計画の策定をやめてしまう。
2.策定の根拠、議決の根拠がなくなり、執行部(行政)が任意の計画として策定する。
3.策定の根拠、議決の根拠を条例で謳い、これに基づき策定する。

 このように、今後は、総合計画を策定するかどうかは、地方自治体の判断によるということです。

 なお、第6次小牧市総合計画は、その期間が平成21年度~平成30年度までの10年間でありますので、予定通り、中間点で「基本計画の見直し」を行います。
 それが、最近のブログで度々取上げている、平成26年度~平成30年度までの「後期基本計画」の策定です。
※小牧市では新基本計画と称していますが、ここでは分かりやすく後期基本計画と記述いたします。

★「小牧市議会の議決すべき事件を定める条例」設けていない
 総合計画に係る地方自治法の改正を受けて、多くの市町では、上記地方自治法96条第2項に基づき、「議会の議決すべき事件と定める条例」を設けました。
 例えば、隣接する犬山市では「犬山市議会の議決すべき事件を定める条例」を次のように定めました。(施行:平成23年10月1日)
犬山市議会の議決すべき事件を定める条例
第1条 この条例は、地方自治法第96条第2項及び犬山市議会基本条例第11条の規定に基づき、犬山市議会)の議決すべき事件について定めます。
(議会の議決すべき事件)
第2条 議会の議決すべき事件は、次に掲げるとおりとします。
(1) 市行政全般に係る将来の目標を設定し、当該目標を達成するための施策、事業その他の手法を総合的かつ体系的に示した基本構想及び基本計画の策定又は変更(軽微なものを除く。)に関すること。
(2) 市民憲章の制定、変更又は廃止に関すること。
(3) 各種の都市宣言の制定、変更又は廃止に関すること。
() 姉妹都市、友好都市その他これらに類する都市間の提携及び協定に関すること。

 上記のように、犬山市では、総合計画について「基本構想」のみではなく「基本計画」についても、その策定又は変更についても、議会の「議決事件」と定めたのです。

 市町によっては、総合計画の「基本構想」「基本計画」のみでなく、豊田市のように「豊田市都市計画マスタープラン」、「新・健康づくり豊田21計画」、「豊田市教育行政計画」、「豊田市環境基本計画」、「豊田市子ども総合計画」なども、議会の議決すべき事件として条例で定めているのです。

★視点(争点)1
 山下市長は、今回の後期基本計画の策定に当たり、「現行の基本構想のうち基本計画とすべきとされた事項も見直す」と、言っています。
 「現行の基本構想の中には基本計画も入っているから、現行の基本構想の見直しをする」と言うことであります。
 私は、「現行の基本構想の中には基本計画が含まれていない」、「基本構想の見直しをする必要はない」と判断していますが、先の「新基本計画策定に関する市民懇談会」における私の質問に対して、山下市長は、「基本構想の見直しについては、議会の議決は要しない(要旨)」と、回答されました。
 「議会の議決すべき事件」に係る条例を定めていない小牧市においては、基本構想見直しの必要性の有無を別にして、そもそも「基本構想を見直す」ということは、法的な根拠がないのではないでしょうか
 現行では、「基本構想」を見直すことは出来ないということではないでしょうか。

★視点(争点)2
 上記の懇談会では、私の質問に関連して、「他市町が、条例で基本計画の策定や見直しを議決事件としたこと」について、山下市長は「間違っていると思う」と発言されました。
 多くの市町が行っていることを、「間違っていると思う」と言われたのです。
 私には、「多くの市町が間違っているのではなく、山下市長の認識が間違っている」と思いますが・・・。

(9月1日追記)
 過去のブログを点検していたら、1年4ケ月程前の平成24年4月23日に「地方自治法改正に伴う総合計画のあり方」という記事を書いていたことが分かりました。そのころから、今日の状況を予測したものでしたので、ご一読を
 基本計画の分野別計画の中に、市長マニュフェスト項目を盛り込むのではなく、基本計画を市長マニュフェスト項目と分野別計画に分離し、しかも市長マニュフェスト部分だけを小冊子にして幅広く市民に配布するとまでは予測出来ませんでしたけど・・・
 この件を懇談会で聞き、「27年2月の市長選挙を目指した選挙運動ではないか」と発言したところ、「ナンセンスな考えだ」と、一蹴されました。
 ナンセンスな考えは、上記の発言をした市民なのだろうか、そてとも・・・。



<※アーカイブ者:以下プライベートな話題だったため、こちらには掲載しませんでした。>