この記事は2013年10月02日に「こまき無答塾」に書かれた記事「「附帯決議」を理解しない市長と議会の呆れた行動」を Internet Archive から復元→アーカイブ化したものです(アーカイブ方針



昨日は、「こまきプレミアム商品券発行補助事業」に係る平成24年度小牧市一般会計歳入歳出決算議案について、反対討論賛成討論の内容について報告いたしました。
 本日は、「附帯決議」を理解しない、小牧市長と小牧市議会の呆れた行動について報告いたします。

★附帯決議とは
 附帯決議とは、議案を議決する際、付け加えられる議会の意見や要望のことをいいます。法的な拘束力はありませんが、政治的に尊重されるべきものとされています。
 
 小牧市議会においては、平成24年3月議会において、平成24年度一般会計予算案のうち「こまきプレミアム商品券発行補助事業」について、全員一致で「附帯決議」を可決いたしました。
 しかし、平成25年度一般会計予算案のうち、「こまきプレミアム商品券発行補助事業」について、前年度の「附帯決議」が尊重されていないとして、同事業に対する補助金を半減する(1億3千万円を6千5百万円に半減する)修正案が提出されました。
 一方、市長支持する牧政会・小牧市民連合等の議員は、原案を認め再び同事業に「附帯決議」を付すことを提案しました。
 採決の結果、修正案は否決され(8対19)附帯決議は可決されました(19対8)
 「附帯決議」の文言は次の通りです。(左が平成24年3月、右が平成25年3月です)
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※それぞれの画面をクリックしていただくと、内容をお読みいただくことができます。

 1つの事業について、2年連続で附帯決議が可決されることは、他市町の地方議会ではあり得ないことであり、附帯決議に賛成した19名の議員の「附帯決議」を理解しない呆れた行動が伺えます。
※賛成した議員:牧政会12名・小牧市民連合5名、無会派2名(舟橋秀和議員・水谷勉議員)
※反対した議員:公明党小牧市議団3名・日本共産党小牧市議団3名・無会派2名(小林一議員・伊藤茂議員)


★タウンミーティングにおける6人の市民の発言(ホームページより)
 先ず、6名の市民の次の発言をお読みください。
(市民1)プレミアム商品券について、附帯決議がついて今回の発行になるということが4月 15日号の広報に載っていましたが、その附帯決議の意味を教えていただきたい。(25年4月16日「東部市民センター」にて)

(市民2)こまきプレミアム商品券発行助成事業の件で、新聞紙上、あるいは巷の声で、どうも内容的に正しく伝わっていないように思います。具体的に説明していただきたい。(25年4月17日「市公会堂」にて)

(市民3)プレミアム商品券についてです。これの効果について、私は非常にいいと個人的には思っていますが、この前の議会で決議される中で、附帯決議が出たように聞いております。これはどういう意味のことを議会の中で指しているのか。議会と、いわゆる執行部側との意見の食い違いがあったのか。(25年4月18日「味岡市民センター」にて)

(市民4)先日の議会の報告会などでもいろいろありましたが、プレミアム商品券発行事業について少し伺いたい。
この制度について、消費者にとっては非常にありがたい話で、大いに活用させていただいていますが、今年の3月の末、新聞に附帯決議がついたという記載がありました。どういうことなのか少し教えていただきたい。(平成25年4月22日「ふらっとみなみ」にて)


(市民5)新聞の記事で、プレミアム商品券の事業で議会から附帯決議されたと載っていましたが、実際に附帯決議されることは地方自治体では本当に少ない事案だと思います。どのような状況だったのか、お聞かせください。(25年4月23日「北里市民センター」にて)

(市民6)産業振興の説明にあったプレミアム商品券について、私自身も、旅行代金の支払いや、また日々のガソリン代の支払い等々に利用しております。
たしか3月の終わりごろの新聞記事で、今後の発行に関して、何か条件がついたというような話を聞きました。よく意味がわからないので、わかる範囲内で説明をお願いします。(25年4月23日「ゆう友せいぶ」にて)


 小牧市民の方は、もうお気付きでしょうが、上記の6名の市民の発言(質問)は、今年の4月16日から4月23日の間に、小牧市の6会場で開催された「タウンミーティング ~市長と話してみませんか~ 」における6会場全てにおいて、市長後援会等の関係者を使ったさせた「やらせ発言(質問)」です。

★「やらせ発言(質問)」に対する市長の回答
 4月16日の東部市民センターにおいて、山下市長は「やらせ発言(質問)」に対して次のように答えました。(他の会場における回答も同様)
山下市長の回答(ホームページより)
 附帯決議とは、要するに予算は認めるが、それに対して意見を付した形で認めるという意味です。今回、附帯決議はつきましたが、 11億円のプレミアム商品券を発行するために1億円の予算をお認めいただきました。間接費として、換金手数料や商工会議所の事務費負担として 3,000万円を加え、1億 3,000万円の予算になります。
 これについて、実は30数年ぶりらしいのですが、市長が提案した予算に、修正案が出ました。何人かの議員には賛同がいただけませんでした。
 それで、プレミアム商品券事業の予算を半減するという修正案を出されました。それは賛成少数で否決され、私が提出した満額の原案が認められました。ですから、予定どおり事業は進めますが、賛成した会派においてもなお附帯決議はつけるという、条件つき賛成というような感じになっております。
 市民税 10%分の 10億円ということを目標にして行政改革に取り組んでおりますが、ほかの市町のように減税という手段で市民にお返しするというのは、これから高齢化の中で予算が厳しくなるときには、そぐわないと私は考えます。これからの市政を進めるに当たって、必要な予算、すなわち高齢化への対応、子育て支援、地域の活性化、公共交通の充実であったり、さまざまなことに使いましょうと言っています。その一つがプレミアム商品券事業であります。
 議会の一部の皆様は、市長は 10億削減をして、その行革効果を市民に還元する。この市民への還元と中小企業の活性化ということで1億円というプレミアム商品券事業に充てると、理解されています。私もそれはいいのですが、このプレミアム商品券事業は、当然市民への還元でありますが、同時に地元の中小商業、サービス業の支援なのです。
 幾つかの点で、そのときそのときで改善する必要性はあると思っています。例えば附帯決議をつけたある会派は、このプレミアム商品券事業は経済効果の検証という面で、まだまだ不十分であるから、経済効果の検証をもっと詳細にしながら慎重に取り組みなさいという意見です。この意見については、私は受け入れたいと思っています。
もう1つの会派の意見は、賛成はするが、 3,000万円という間接的な経費について、他市町のプレミアム商品券事業を見ると、もう少し削減ができるのではないかという意見です。あるいは、半期の部分で 15万市民のうち約1万人に購入いただいていますが、もう少し幅広く増やせないかという意見。そうすると、この1万人を増やすために、5億の枠を 10億とかいって増やすか、1人当たりの販売額を減らすという2択しかないわけですが、もう少し工夫をしたらどうかという意見もいただいています。
これら改善すべきだという意見についても、私は受け入れていきたいと思っています。商工会議所と相談をしながら、さらなる改善に向けての努力は今やっております。
 ただ、反対をされた会派や議員の皆様方の意見は、 15万人の市民のうちで1万人しか利用してない、還元していない。特定の市民の1万人に継続して毎年1億も投じていくことは公平性に欠けるという意見のようであります。この意見は、私は受け入れられないと議場でも再三説明をしてまいりました。
15万人のうちで1万人しか買ってないからだめだといったら、ほかのいろいろな施策もそうではないでしょうか。極論しますと図書館、保育園、老人福祉施設にしても、全員が利用するわけではありません。施策というのはすべて目的があり、対象者が限定され、そういった事業の積み上げで、全体として市民に対して還元をしている。ですからその論理だと、ほかの施策はどうなのかということになります。例えば企業立地のため、新たに市内に来てくれる企業への補助金として5社に対して2億数千万組んでいます。しかし議会の反対はなかった。プレミアム商品券事業には市内の商業者の3分の1に当たる約 600店が参加をしている。これに1億を投じることがだめだというのは、やっぱり私は受け入れがたい。
意見が議会と違うとこもありましたので、附帯決議はつきましたが、頑張っていきたいと思っています。
(以上)

★実態は市長独演会
 タウンミーティングのサブタイトルは、上記の通り「~市長と話してみませんか~」です。本当にそうでしょうか。
 実態は、「~市長独演会を我慢して聞いてみませんか~」です。

 読者の皆さんからすれば、市長・議会と同様に、ブログの管理者の私も「呆れた行動をしている」と判断されるかも知れませんが、実は次の数値をカウントいたしました。

 4月16日に東部市民センターで開催された会議要旨をプリントアウトすると、A4サイズ紙に22頁の資料となります。
 この資料について、市長発言・市民発言・司会者発言の行数をカウントすると、全部で637行のうち、市長発言551行、市民発言73行、司会者発言13行です。
 何と総行数の86.5%は市長の発言で、市民の発言は、たった11.5%です。正確な発言時間ではありませんが、この数値からいうと、「市長独演会」ということが証明出来ます。
 しかも、市長後援会・市職員を動員し、「やらせ発言(質問)」をさせて・・・

 市長の回答の中で、特に「図書館、保育園、老人福祉施設も1部も市民しか利用しない。1部の市民しか購入しないプレミアム商品券事業の何処が悪いのか」という「開き直り」の発言には、ほとほと呆れかえってしまいました。

★附帯決議あり方
 議会改革が先行している四日市市においては、「議会基本条例第16条」に次のような条文を規定しています。(以下、四日市市議会基本条例引用)
(附帯決議)
第17条 市長等は、議会との信頼関係を重んじ、本会議及び委員会において可決された附帯決議を最大限尊重するとともに、当該附帯決議に関する事後の状況、対応等を遅滞なく議会に報告しなければならない。

また、条例の解説文にはこの16条について次のように説明していまます。(解説、引用) 
【解説】
附帯決議とは、議決された議案に対して付され、予算の執行や条例の施行に関する議会としての意見や要望を表明するものです。市長等は、付された附帯決議の内容を尊重するとともに、附帯決議の内容に関する事後の状況や対応を議会に報告する義務があることを定めています。


 四日市市においては、1つの議案に2年連続で「附帯決議」を議決することも、タウンミーティングで「やらせ発言(質問)」をさせることも、「開き直り回答」をすることは絶対にないでしょうね。
 「附帯決議」を理解しない首長、「附帯決議」を理解しない議会が継続すれば、その結果は間違いなく市民の不幸に繋がります。


※. アーカイブ者:以下プライベートな内容だったため、こちらには掲載しませんでした。