この記事は2013年11月30日に「こまき無答塾」に書かれた記事「シリーズ「パフォーマンスを検証する」(その3)」を Internet Archive から復元→アーカイブ化したものです(アーカイブ方針



(前回の続き)

シリーズ「パフォーマンスを検証する」では、パフォーマンスという言葉を、「人目を集めるための派手な行動」という意味で使用しています。

★(4)平成23年3月・初めての市政方針演説
 平成23年2月26日に就任した山下市長は、就任12日目の3月9日に開催された小牧市議会(3月議会)において、「私は、去る2月6日の選挙において市民の皆様にご信任を頂き、2月26日付けで第6代の小牧市長に就任いたしました・・・」から始まる施政方針を述べられました。

 市政方針の中の主な文言は次の通りで、私たち市民にとってはやや難解な言葉であり、耳触りの良い言葉が並びましたが、よどみなく、また議場内に良く通る声での市政方針でした。
 若い山下市長に期待した私は、「初めての定例会にしては、堂々とした施政方針演説だった!」と、傍聴席で感心いたしました。
「先進の地域モデルの創造」に挑み、果敢に行動する「改革と創造の市政」を実現
「これからの日本のあるべき地域の姿」を生み出す大いなる試みに挑戦
地域主権の時代の「地域自治モデル」への転換
「市長主導の行政モデル」への転換
「創意と活力に富んだ地域自治」の創造
「改革と創造の市政」の実行
「先進の小牧モデル」の実現
「小牧から全国へと発信」

 そして、10分間の市政方針演説の中で、一番多く使われたのは、「マニフェスト」という言葉でした。
 この時点では、私は気付いていませんでしたが、その後の山下市長の言動から、山下市長は自身のマニフェストを、次のように捉えられている事が分かりました
山下市長のマニフェストの捉え方
市長選挙で当選した⇒⇒⇒小牧市民の信託を受けた⇒⇒⇒選挙時に掲げたマニフェストの内容は、全ての小牧市民から支持された
 この山下市長のマニフェストに対する考えが、その後、「小牧市の進む方向を狂わせた」と私は判断しています。

 確かに、市長選挙で当選するということは、「民主主義という正当な手続きを得て市民の信託を受けた」ということであります。
 他の候補より得票が1票でも上回れば、「市民の信託を受けた」ということには間違いありません。
 しかし、一方で当選者はは、得票という分かりやすい指標を基に、「その信託の内容」を謙虚に受けとめることが必要であると、私は確信いたします。
 平成23年2月6日に施行された小牧市長選挙の投票結果は次の通りです。
投票率;52.13%(115,191人の有権者のうち投票した人は60,044人)
得票:山下史守朗30,650票 中野直輝26,393票、宮田勝三1,902票で、山下市長の得票率は51.05%です。(山下候補の得票は全有権者対比では26.61%です)
 上記の数値を謙虚に受け止め、その後の市政運営に臨む必要があると思います。当選者がだれであろうが・・・。

 さらに、山下史守朗と投票用紙に書いた30,650人の中で、何人の人がマニフェストを読んだのでしょうか何人の人がマニフェスト記載内容を全面的に支持したのでしょうか。
 少なくとも、私は、前々回(その1)で記載しましたように、マニフェストに大きな文字で書かれた3項目にについて、「選挙向けのパフォーマンスだ!」と、山下立候補予定者(当時)に直接申し上げたのです。
 それでも、総合的な判断から「山下史守朗」と、確信を持って書いたのです

 首長マニフェストについて、私は、もう1つの大きな問題が存在すると判断をしています。
 国の議院内閣制と異なり、二元代表制度下における地方自治においては、首長マニフェストは、「議会の議決を経なければ実行することは出来ない」ということです
 首長には予算編成権やその執行権がありますが、その予算案が適正かどうかを判断するのは議会の役割であります。
 従って、選挙で当選した首長は、マニフェスト項目の実行にあたり、市民、市職員、議員に懇切丁寧に説明し、「なるほど」という理解を得なければならないのです
 
 2年9ケ月の山下市政を振り返れば、上記のように「マニフェスト内容を説明し理解を得る場面」、「マニフェスト内容を見直す場面」が多々あったのでありますが、上記のように「当選=市民の信託=マニフェスト全面支持」と、身勝手な判断をして、説明責任を果たすことなく、強行突破してきたのです。

(PS)
 市政方針演説の中で、山下市長は「右へ倣えの地方自治ではなく、市自らの責任と創意工夫による地域運営を目指すにあたり、議会におかれましても活発に議論して頂くことが必要と考えます。議会として市政の在り方や施策を議員間で討論すること、議会報告会の開催など市民対話の推進、それらの制度化を始めとする議会基本条例の制定、および議員定数の在り方等について、市議会において早急にご検討を進めて頂きますよう、議員各位のご理解とご尽力をお願い申し上げます」と、議会に係る自説を述べられました。
 この件については、後日のシリーズで取上げます。

(次回へ続く)