この記事は2014年03月28日に「こまき無答塾」に書かれた記事「誰にも責任がないのかな?」を Internet Archive から復元→アーカイブ化したものです(アーカイブ方針



3月⒓日のブログのタイトルは「小牧市民の皆さん、この予算案を認めますか?」でした。
 平成26度一般会計予算案に、24年7月にオープンしたばかりの小牧市役所新庁舎の改修工事費5,860万円計上がされていましたが、予算決算委員会・総務委員会分科会において、殆ど審査もなかったことを取り上げたものでした。5,860万円の内訳は次の通りです。
本庁舎地下1階天井断熱材吹付け工事費:4,300万円
本庁舎1階北出入口風除室改修工事費:1,080万円
本庁舎地下1階防火扉補修工事費:480万円

★何故、建設して間もない新庁舎の改修が必要なのか?
 同分科会では、議員の質疑に対して、笹原総務課長がその必要性が説明されましたが、良く理解することが出来ませんでしたので、改めて「市民の声」で問い合わせました
笹原総務課長からの回答(原文引用)
 このたびの新庁舎改修工事に関する予算要求は、本庁舎の「寒さ対策」が大きな目的です。本庁舎において業務を開始し1年8ヶ月が経過する中で、「1階の足元が寒い」、「1階の暖房の効きが悪い」といった現象が判明しました。
 その原因として2点を考えています。1点目は、本庁舎と東庁舎の地下を吹き抜ける風です。東庁舎には、従来から地下公用車駐車場に出入りするためのスロープが存在していましたが、スロープは1本のみでしたので、仮に風が入ろうとしても「行き止まり」状態となりすぐに風が溜まり、吹き込み続けることはありませんでした。
 対して本庁舎が完成し、同時に本庁舎地下駐車場と東庁舎地下駐車場を繋ぐ地下通路が完成したため、一方から入った風がもう一方へ抜けていけるようになったと考えられ、従来と異なり定常的な風の流れが発生するようになりました。
 夜間、休日には出入口のシャッターを下ろして駐車場を封鎖しているものの、シャッターは格子状であり、また本庁舎が免震構造であるため、地下出入口以外にも隙間があることから、風はほぼ全て通過していると考えています。
 本庁舎1階だけがその下面を一日中冷たい風にさらされていることが本庁舎1階の足元が寒いといった現象と強い相関を持つと判断しております。そこで、足元の寒さ対策、暖房対策を実施すべく地下通路の風の通り抜けを防ぐ方策の検討と併せて1階の床下である地下1階の天井に対する断熱材の吹き付け工事を行うこととしました。
 2点目として、本庁舎北側の出入口から外の冷気が吹き込んでくること、及びそれに伴い体感温度も著しく下がることが考えられます。本庁舎北側出入口の風除室は、ドア間の距離が近く全てのドアが同時に開く瞬間が発生して風が多く吹き込むようになったと考えています。ドア同士の相対的位置取りについては、2枚のドアが同一直線上に配置されており、ドア開放時に流れ込む風の量が増加し、加えてその同一線上に福祉課があるため来庁者、職員に当たる風の量も増えたと判断しました。現在の北側出入口の特徴である「距離が近いこと」「同一直線状に配置されていること」は庁舎への出入りを容易にしておりますが、これは同時に「風通しも良くなる」こととなってしまい、冷暖房でのエネルギー消費の観点から問題があることが運用していく中で判明しました。
 よって、北側風除室のエコの観点も重視し、ドア同士の相対的位置取りなどについて再考し、改修工事を行うこととしました。
 なお、2階以上につきましては、1階の冷気が階段を伝わって上昇している現状でありますが、1階の冷気の進入を防ぐことにより冷気の上昇を抑えられることから現時点で工事は考えておりません
。(以上、引用終わり)

★新庁舎1階の「足元が寒い」「暖房の効きが悪い」理由
 新庁舎1階の足元が寒かったり、暖房の効きが悪いの理由が、笹原総務課長の説明通りなのかどうか、私は判断できませんが、参考までに「小牧市新庁舎の概要」という資料に掲載された次の3つの図面をご覧ください。
新庁舎と東庁舎(旧:南庁舎)
img456.jpg

 図面の右側のクリーム色の建物が以前からあった東庁舎(旧:南庁舎)で地下1階は駐車場でした。
 図面左側が新庁舎ですが、新庁舎の地下1階の駐車場と、従来の東庁舎の(旧:南庁舎)の駐車場は地下で結ばれました。 これにより、風の通り道が出来たとのことですが・・・。

新庁舎の概観
img457.jpg

 左側の新庁舎は、ご覧いただいたように壁面は殆どガラス張りです。私は、この今回の改修問題が出る随分前から、「新庁舎はガラス張りだから、特に土日の休み明けには空調の効きが悪く、夏は暑く冬は寒い」と市職員の方から聞いていました。勿論、1階だけでなく・・・。

新庁舎と東庁舎(旧:南庁舎)の配置
img458.jpg


★議会のチェックも不十分ではないのか?
 上記の改修工事に係わる予算は、予算決算委員会でも本会議においても特に問題視されず、予算案は原案通り可決されました 
 私は、「市議会への声」を通じて、上記の件に関する対応を問い合わせました。伊藤宏行議長から回答が次の通りありました。
伊藤議長の回答(原文引用)
 当初予算に計上されています改修工事の内容については、総務課より回答したとおりであり、来庁者及び職員の「寒さ対策」のため、やむを得ないものであると考えています。
 しかしながら、実際の改修工事に際しては、十分な効果がでるような施工方法を、再度、十分に検討するよう申し伝えたところであります。
 なお、寒さの原因が、設計段階で予見できなかったものなのか、施工に問題がなかったかなどに関しては、予算決算委員会総務分科会の質疑にもあったとおり、顧問弁護士とも相談しているとのことでありますので、今後も注視していきたいと思います。
(以上、引用終わり)

★誰にも責任が無いのかな?
 新庁舎の建設に際しての基本理念は「人と環境にやさしい 親しまれる庁舎」です。新築後1年9ケ月した時点で点検すれば、とてもとても基本理念通りとは言えないのではないでしょうか

 新庁舎の設計は、プロポーザル方式山下設計が担当いたしました。(旧:南庁舎の設計も山下設計です)
 私は、今回、5,860万円もの税金を投じた改修工事が必要になった根本原因は設計に問題があると判断しています
 さらに、その設計ミスを見逃した小牧市の担当部門にも大きな責任があると思っています。
 伊藤議の回答には「顧問弁護士とも相談しているとのことでありますので」と、今後責任の所在が明らかにされるよう受け止められる回答ですが、笹原課長の分科会での答弁「顧問弁護士に設計図を見てもらったが・・・」でわかるように、全て小牧市が改修費用を負担して行い、設計業者の責任を問う可能性はゼロです。

 
 設計ミスや設計チェックミスは過去のことでありますので、小牧市も小牧市議会の「今回、予期しない改修工事で5,860万円もの税金を投じるようになったのは、過去のこの時点でミスを見逃したことが根本原因だ」、「これをしっかり検証し、二度とこのような税金の浪費を防止しなければならない」との認識を共有すべきです。
 
 それを怠る・・・、いや避けるのであれば、市民から徴収した税金をどぶに捨てるようなものです。
 
 私には、役所に長年勤められた知人・友人が複数いますが、「役所はミスを絶対に認めない組織だ!」との話をよく伺っています。