この記事は2014年04月29日に「こまき無答塾」に書かれた記事「図書館問題で犯した小牧市長の大罪(その3)」を Internet Archive から復元→アーカイブ化したものです(アーカイブ方針



(昨日の続き)

 平成23年2月の市長選挙直前まで、小牧市図書館はA街区に建設するのではなく、3階~4階に空床が生じたラピオビルに移設することはほぼ決まっていました。
 図書館を所管し図書館建設基本計画を策定した教育委員会も、議会もラピオビルへの移設に賛成していました。
 

 ラピオビルを管理する第3セクター(小牧市が48%出資)の小牧都市開発?は、長期借入金の返済猶予が必要な経営破たん寸前の状態でしたので、空床に図書館が入れば安定した家賃収入が入り、ラピオビルの再構築に繋がりまっすし、A街区に約30億円の税金を投じて図書館を建設するよりも効率的であったのです。 しかしながら、市長に就任した山下市長は、早々と図書館のラピオビル移設を白紙にしてしまいました。

★山下市長が犯した大罪その3 「二元代表制を崩壊させた大罪」

 市長就任直後の平成23年第1回定例会(3月議会)において、小林一議員(当時:新政クラブ)は、図書館のラピオ移設が白紙になったことに対して次のように質問しました。
(小林議員の質問内容)
 牧駅周辺活性化委員会において昨年より議論を重ね、本年1月(20日)にラピオ3階に図書館を持ってくるしかないということで委員会で決められたわけです。そのような経過も無視して、図書館の建てかえはゼロベースでという新聞報道がありました。
 小牧市は大統領制ではございません。拒否権はございませんので、議案として提案しても、議会が承認しなければ執行できません。お互いが市民の代表として独立した立場で提案、審査をするものであります。そのようなことを踏まえて今回の異なるコメントを出された理由を教えてください
。(以上)

 山下市長は小林議員の質問に対して次のように答弁しました。
(山下市長の答弁内容)
 これはラピオとか図書館の問題と承知をしておりますが、市議会として熱心に議論され、一定の方向性を導き出してこられたことは十分に認識をしております。
 しかしながら、ただいま申し上げました二元代表制の基本的な考え方のとおり、首長と議会はそれぞれ住民の直接選挙で選ばれ、独立して民意を代表しております。
 私は、さきの市長選挙を通じて、マニフェストの中で大型プロジェクトについてゼロベースの再検討を市民の皆様にお約束し、市民の皆様から御信任をいただいて、新たに市長に就任したわけでありますので、現時点で議会と異なる意見を持つことに何ら問題はないものと考えております
。(以上)

 山下市長の答弁の通り、地方自治の二元代表制は、別々の選挙で選ばれた市長と、議員で構成される議会(合議体)は協力と牽制の緊張感を保ちながら市政を運営する仕組みです。 
 しかしながら、この二枚舌男は、この場で上記のような答弁をしておきながら、半年後に施行された市議選挙において、「選挙後に、市長マニフェストに掲げた『議員定数3分の2への削減』等の実現に協力すれば、市議選挙の際に応援してやる。応援してほしければ、この誓約書に署名押印して提出しろ」と、あきれ果てる行動をしたのです。 
 この市議選により、議員として資質に欠ける(これは私の判断ですが、小牧市議会を見つめている市民は同様に思っています・・・)が、何人も初当選し、小牧市議会は市長の追認機関になり下がってしまいました

★山下市長が犯した大罪その4 「ラピオビルの再構築をミスリードした大罪」
 ラピオビルへの図書館の移設が白紙になり、破たん寸前の小牧都市開発?はどうなったのでしょうか。
平成23年3月3日の中日新聞
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 私は、小牧都市開発?の決算資料を毎年開示請求して入手していますが、平成23年3月末時点の長期借入金残高は7億6,500万円でした
 借入先は小牧市と東春信用金庫の2者ですが、23年度分の返済が出来ず、貸付金の回収を猶予したことを報じた記事です。
 記事の文末には山下市長が、中野前市長時代に検討されたラピオ3階への市立図書館移転については「ゼロベースで考える。図書館はどういう形が良いのかまだ決めていない」と述べたと書かれています。
 市長選挙の際に、私は複数の市議から「山下候補は小牧選出の県議だったが、小牧市のことは殆ど知らない」、「若いけど頑固だ」という話を聞いていました。

 中野前市長が進めていた図書館のラピオ移設に関して、「こういう点が問題だ」と説明して白紙にするのであれば理解できないわけではないですが、21年3月に策定された図書館建設基本計画も読まない訳の分からない状況で白紙にしたのは、「前市長の進めたことを引き継いでも自分の得点にはならない」、「次の市長選挙で図書館問題をアピールした方が票に繋がる」と、この男は抜群の政治屋としての能力を発揮したのでしょう
 そして、議会に説明する前に御用記者を使って「ラピオ移設白紙」を書かせたのです。

平成23年4月23日の中日新聞
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 従来、小牧都市開発?の社長は、48%を出資する小牧市の副市長が就いていましたが、山下市長は東海ゴム工業参与の速水昭典氏を社長に就任させました。

 速水氏については、先の小牧市総合計画審議会の委員もされており、ビジネス視点で市長が提案した市長戦略編を厳しく批判しました。 
 最終的に市長戦略編が市政戦略編に変更されたのも、私は速水氏の発言によると判断しています

 しかしながら、山下市長が素人判断で「ラピオビルは第一義的に商業ビルだ」と、誤った認識に基づく答弁を度々したように、商業ビルを管理する会社の社長という点では速水氏も全くの素人です。
 商業ビルの管理会社の社長には、「売り上げの悪い不人気なテナントに退店させ、人気のある店を引っ張ってくるような能力がないと務まらないのです。

 そして、山下市長には根本的な認識不足(勉強不足)が、そのベースに会ったのです。
 平成18年9月に、ラピオビルの核店舗のイトーヨーカ堂が業績不振で退店表明した後に、平成19年2月に「小牧駅周辺整備検討委員会」が、小牧市に「小牧駅周辺整備に関する提言書」を提出しました。
 会議録は非公開でしたが、商業立地の専門家が同委員会に「小牧駅前地区に関する商業診断資料」を提出していることを把握いたしました。
 私は、その商業診断書を開示請求して入手いたしましたが、小牧駅前地区に適した店舗は、食品スーパー業態店(SM)や、ドラッグストア業態(DS)であり、総合スーパー業態(GMS)やホームファニシング業態は不適であると、バツ1印が明記してあるのです。
※ホームファニシング業態は、ニトリやファニチャードームのような店舗です。
 このことは、別に専門家でなくても、小売業・流通業に携わった人、あるいは小売業に興味のある市民の方から見ても当たり前のことであります。

 税金を使っての商業診断が存在するにも拘わらず、山下市長は勉強もせず「ど素人判断」で、ラピオビルは第一義的に商業ビルだとし、速水氏に社長を要請したのです。
 その新聞記事で注目していただきたいのは、赤い線を引いた部分の「大善家具会長の加藤氏正義氏・・・新たに取締役に選ばれた」という点です。
 大善家具は小牧市に本社のある家具の卸業者ですが、このルートでファニチャードームがラピオ3階~4階に入店することになったのです。(平成23年12月1日オープン)

 先日も取り上げましたが、ラピオビル前の信号を挟んだ反対側に食品スーパーのマックスバリュウが出店します。
 マックスバリュウが出店するのは、小牧駅前地区が食品スーパー業態店に適しているからであります。
 勿論、オープンすれば勝ち残るのは、マックスバリュウかラピオ1階の平和堂の食品売り場のどちらかです。
 両店とも繁盛することはあり得ません。

 現在、営業している店舗についてコメントするのは好ましいことではありませんが、一般論として言えば、平和堂の1階~2階は総合スーパーの体をなしていませんし、ファニチャドームも小牧駅地区に適合した店舗ではありません。
 こうした観点で、私は「数年後には、ラピオビルの1階~4階の店舗がほとんどなくなる可能性が高い」と思います。

 だから、慌てて、しかも市民の声を全く聞かないで、A街区に図書館(山下市長のやりたい放題にさせれば、CCCを指定管理者捺した図書館、スタバ、蔦屋書店の入った建物)建設を進めることに大きな疑問を抱くのです。

(次回へ続く、お楽しみに)