この記事は2011年11月27日に「こまき無答塾」に書かれた記事「住民監査請求と住民訴訟」を Bing検索のキャッシュ から復元→アーカイブ化したものです(アーカイブ方針



新聞で報道されましたのでご存じと思いますが、隣接する犬山市で「住民監査請求」と「住民訴訟」が起こりました。
地方自治法基本解説(川崎政司著、法学書院発行)」には、住民監査請求・住民訴訟について次のように記述しています。(以下、書籍引用)
 住民監査請求と住民訴訟は、地方公共団体の運営の公正の確保、健全な財政の確保、住民全体の利益の確保を目的とするものです。
 住民監査請求は、執行機関・職員の財務会計上の違法・不当な行為・職務を怠る行為について、監査委員に監査を求め、その行為・怠る事実について予防・是正の措置を求めるものであり、法律上の行為能力を有する住民であれば誰でも、また1人でも請求することができます。
 さらに、住民監査請求によって所期の目的を実現し得ないときには、監査請求を行った住民には、裁判所に住民訴訟を提起する道も開かれています
と記述されています。(以上、書籍引用終わり)

 11月10日の新聞報道によれば、日本共産党犬山市議団の岡覚議員らが、①市の新体育館建設構想の策定業務委託費(約340万円)の返還を求め、さらに、②今年2月15日号の広報に「体育館、羽黒竹ノ腰に決定」と市民に伝えたことを「予算が議決される前で、議会に対する越権行為だ」と主張し、該当分の経費返還などを求めた住民監査請求に対して、市の監査委員が、「①については、請求期限の1年を過ぎている」、「②については、主張は記載内容への非難で、住民監査請求の対象にならない」との理由で却下されたとのことであります。

 この却下を不服として、11月26日の新聞報道によれば、岡市議らが、田中犬山市長を相手取り、約347万円を市に返還するよう求めた住民訴訟を名古屋地検に起こしたとのことです
 訴訟の内容は、①2009年に市がコンサルタント会社に業務委託した候補地選定は、あらかじめ候補地が事実上決定されていた「やらせ」だと主張し、委託料約338万円の返還を求め、②上記の2月15日号の広報の該当ページ分の印刷製本費9万円余の返還を求めるものであります
 詳しい内容は分かりませんが、公開されている情報を総合すると、訴訟内容について、私は疑問があるように思いましたので、それぞれについて私見を記述いたします。

(1)候補地選定について
 新体育館の建設場所が羽黒竹ノ腰に決まったのは、「新体育館建設検討委員会(14名で構成)」での、第1回(22年6月30日)~第5回(9月22日)の検討結果を受け、9月29日の教育委員会の議決により決定したものであります。
 第1回~第5回の議事録を閲覧いたしましたが、「あらかじめ候補地が事実上決定されていた」とは判断できませんでした。
 候補地が決定してから1年以上経過した時点で、何故このような住民監査請求・住民訴訟を起こすのか私には理解できませんでした。

(2)議会に対する越権行為について 
 広報の該当ページを見ましたが、どの部分が越権行為なのか理解できません。体育館の建設場所を議決するのは教育委員会であり、「予算が議決される前に・・・」というのは何のことかわかりません
 勿論、これから発生する基本設計・実施設計・建設(整備)工事に関わる予算は、議会の議決が必要ですが、現時点で予定地・体育館を含めた概要・建設手法を広報に掲載することについては、「問題がない」と私は判断しています

 住民訴訟の結果を見極めたいと思っていますがコンサルタント会社への委託料といえば、「小牧市の方が、遙かに金額的に大きな問題があるのではないか」と、私は判断しています。
 勿論、住民監査請求とか住民訴訟という視点ではありませんが、とん挫している「小牧市農業公園計画」、「小牧駅周辺整備計画」、「新図書館建設計画」において、小牧市がコンサルタント企業に支払った委託料は1億円を超える規模であります。
 パブリックコメント、議会における予算審議など、計画を振り返る機会は種々あったはずですが、見過ごされ、結果論かも知れませんが、多くの税金を無駄遣いをしたことになりました。
 行政や議会に要求されるのは、これらの計画を徹底的に検証し、どのような時点でどのような判断ミスがあったのかを認識する必要があります。
 それをしなければ、文字通り「税金をドブに捨てた」ということになります