この記事は2015年01月24日に「こまき無答塾」に書かれた記事「市有地の売却問題が大きくなって、山下市長は・・・」を Internet Archive から復元→アーカイブ化したものです(アーカイブ方針



昨日(1月23日)に小牧市のホームページトップに「平成27年1月15日の臨時記者会見の内容をお知らせします」との新規情報が掲載されました。
 1月15日の臨時記者会見とは、70歳代の小牧市民が小牧駅前の市有地を随意契約で東春信用金庫に売却したのは違法・不当だとして、山下市長に1億5301万7363円を市に支払うよう求めた住民監査請求を行ったことを受けて行ったものであります。
 何故、このタイミングで、山下市長は、15日の記者会見の内容をホームページに掲載し市民に知らせたかったのでしょうか・・・。
 
 選挙が近くなると、出どころ不明のビラが各陣営からポスティングされますが、住民監査請求を報じた1月16日の中日新聞・朝日新聞の記事をコピーしたビラがポスティングされました。
ポスティングされたビラ
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 このような出所不明のビラがポスティングされることに関しては、私は不快感を抱きますが・・・。
 このビラの影響かどうかは分かりませんが、市有地売却問題については、市内(特に中心部)で話題になっているそうですので、山下市長は、「市有地の東春信用金庫への売却については、正当な手続き、適切な価格で行われた」と、あらためて市民に説明したかったのでしょう。

 ホームページに掲載された臨時記者会見の説明資料(A街区内の市有地の処分について)の原本はクリックしてご確認いただきたいと思いますが、本日はその説明資料のポイントと、東春信用金庫への売却が、正当な手続き、適切な価格で行われていなかったことをあらためて証明いたします。 

★東春信用金庫へ売却した土地について
 先ず、確認のため小牧市が東春信用金庫に売却した土地を次のA街区の平面図でご確認ください。
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 小牧市が東春信用金庫に売却した土地は、A街区北側の中央のオレンジ色で囲まれた953.32?の土地です。小牧市はこの土地を1坪あたり45万円で売却いたしました。
 なお、この土地に隣接しマンションが建っている土地(薄い緑色で囲まれた土地)は、平成19年2月に小牧市民間の所有者が(株)大京に1坪あたり100万円で売却したとのことであります。
(訂正とお詫び:1月25日午後12時半)
 当初「この土地に隣接しマンションが建っている土地(薄い緑色で囲まれた土地)は、平成19年2月に小牧市が(株)大京に1坪あたり100万円で売却したとのことであります。」と記述いたしましたが、これは私の誤認に基づく記述であり、正しくは「この土地に隣接しマンションが建っている土地(薄い緑色で囲まれた土地)は、平成19年2月に民間の所有者が(株)大京に1坪あたり100万円で売却したとのことであります。」でした。
 謹んで訂正させていただきますとともに、ご迷惑をおかけし心よりお詫びいたします。

 地方公共団体が行う売買、賃借、請負その他の契約は、原則として一般競争入札の方法によるものとされ、政令で定める場合には、指名競争入札、随意契約またはせり売りによることが出来るとされています(地方自治法第234条第1項・第2項)
 一般競争入札は、入札の公告をして、不特定多数の参加を求め、その地方公共団体の最も有利な価格で申し込みをした者と契約を締結するものです。
(以上、地方自治法基本解説より引用)
 
 今回の東春信用金庫への市有地売却は原則に反し随意契約で行われこと、さらに、そのために平成19年に隣接地の市有地を売却した時に比べ、大きく下回る価格で売却したことについては、決して正当化できるものではありません。
 山下市長が、どのような手段で随意契約で売却したかについては後述いたします。

 東春信用金庫は、本店ビルをA街区に移転建設するために、A街区北側右側の2筆(青い線および赤い線で囲まれた土地)の地主と借地にて利用できる旨の話を進め、併せて、平成24年9月にその民有地に隣接する市有地の払い下げ要望書を小牧市に提出いたしました。
 そもそも、契約方法の如何を問わず、現状では、この市有地を民間に売却することが出来るのでしょうか。
 平成20年3月に策定された「小牧駅周辺整備計画」は、現在も活きていますので、もし売却する必要があると判断した場合には、「小牧駅周辺整備計画」の見直し、または白紙撤回をするという手続きを経る必要があります。

 東春信用金庫が小牧市に提出した払い下げ要望書には、5項目におよぶ地域振興のための取り組み事項が記載されており、それを受けて小牧市は、「民間活力によるA街区北東部の歩道の整備を含めた高度利用促進につながり、賑わいと魅力ある中心市街地の形成を推進することができること。また、地域の住民、企業に密着し、信頼された、本店所在地を小牧市に置く市内の金融機関を市外へ流出させることのない計画であると判断したとのこと。
 さらに、平成24年11月26日に小牧駅周辺活性化委員会を開催し、状況説明を行い、平成25年度予算に市有土地売払収入を計上したうえで、東春信用金庫への払い下げを平成25年4月8日に行いました
」と、その行為を正当化しています。

 しかしながら、「小牧駅周辺整備計画」の見直し、白紙撤回等の手続きのない売却は、売買契約の如何を問わず認めらるものではありません。
 また、後段の部分の議会関係の部分は、「議会も売却について理解していた」と言いたいのでしょうが、こうしたことが議会で見過ごされるのは、端的にいえば、多くの小牧市議がボケっとしているからであり、手続を経ない売却を正当化できるものではありません。
 小牧市議会の多くの議員のレベルが低いことと、山下市長の違法・不当な行為を許してしまったのです。

★随意契約の違法性
 説明書には「随意契約の適合性」として次のように記載しています。
 「土地の売払いについても、地方自治法により一般競争入札を原則とされていますが、同法234 条第2 項に随意契約とすることができる場合が示されており、今回の判断は、その条文の「その性質又は目的が競争入札に適さないもの」に該当すると判断し、「小牧市普通財産土地の売払いに関する要綱」に基づいて随意契約による契約としたものであります」と記載されています。

 「小牧市普通財産土地の売払いに関する要綱」はホームページ等で公表されておりませんが、私は今回、その要綱を入手することが出来ましたので、皆さんもご覧いただきます。
改正前(平成22年6月17日から施行)
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 読みにくいので、ポイントとなる第3条及び第4条を次に転記いたします。
(基本方針)
第3条 市は、土地のうち、その所在地、地形、地積その他の状況から勘案して、市において公共又は公共用として利用する見込みのないものについて売り払うものとする。
(処分方法)
第4条 土地の売払いは、原則として、一般競争入札により処分するものとする。ただし、次に挙げる場合は、随意契約によることが出来るものとする。
(1)公用、公共用又は公益事業の用に供するため必要とする土地を国、公共団体又は事業者に売払う場合
(2)公共事業に用地を提供した者に、その用地に大替地として土地を売払う場合
(3)形状が不整形又はおおむね100坪未満のため、単独で利用することが困難な土地を当該土地に隣接する土地所有者に売払う場合
(4)居住用地として現に貸し付けている土地を、借り受けている者に居住用地として最小限必要な土地に限り売払う場合
(5)永続的に使用に耐える建物又は堅固な構造物の敷地として貸し付けた土地を当該建物又は構造物の所有者に売払う場合
(6)入札の不成立、落札者の権利放棄等のため入札により売り払うことのできなかった土地を売払う場合
(7)前各号に準ずる場合として市長が認める場合
(以上)

 先ず、第3条では「市において公共又は公共用として利用する見込みのないものについて売り払うものとする」としていますが、東春信用金庫に売却した953.32?の土地は、第3条に該当する土地ではありません。
 
 さらに、東春信用金庫への売却を随意契約で行うには、第4条の(1)~(7)いずれにも該当しませんので、山下市長はどのような手段を講じたのででしょうか。何と、「小牧市普通財産土地の売払いに関する要綱」を、都合のいいように改正したのです。
改正後(平成24年6月8日から施行)
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 これも読みづらいですから、改正された点だけを次に転記いたします。
(改正点)第4条の(7)
(7)前各号に上げるもののほか市長が必要と認める場合。(以上)

 改正前の(7)は「前各号に準ずる場合として市長が認める場合」という条文でしたが、改正後の(7)は、「前各号に上げるもののほか市長が必要と認める場合」としたのです。
 改正前の「前各号に準ずる場合」と、改正後の「前各号に上げるもののほか」では大違いです
 改正前の第4条の(1)~(6)の例外規定をただし書きは、完全に骨抜きにしてしまったのです。
 それにもかかわらず、小牧市は説明資料で「随意契約の適合性」と称しているのです。

★売却価格の不当性
 説明書には「売払い価格の適合性」として次のように記載しています。
 土地の処分価格についても、ガスビルの公示価格、ライオンズマンションの北側に隣接する市道西朝日1号線の取引事例地からの比準価格との比較を行い、今回は不動産鑑定価格を処分価格として、小牧市財産処分審査会への付議により決定されたものであります。(以上)

 「小牧市財産処分審査会への付議」とありましたので、小牧市財産処分審査会とはどのような委員で構成されているのか調べてみましたが、公表されておりませんでした。
 そこでネットで他市町の状況を調べたら、例えば「小美玉市公有財産取得管理処分審査会規程」には次のように規定されていました。
第4条 審査会に会長,副会長2人及び委員7人を置く。
2 会長は,副市長をもってこれに充てる。
3 副会長は,総務部長及び都市建設部長をもってこれに充てる。
4 委員は,次に掲げる者をもってこれに充てる。
企画財政部長,建設課長,管理課長,都市整備課長,財政課長,管財検査課長,会計管理者
(以上)

 小牧市財産処分審査会も大きな違いはないものと判断できますので、沖本副市長が会長、伊木総務部長が副会長、委員は松岡市長公室長等の部長職で構成されていると思われます。
 こうした審査会のメンバーが、山下市長の決めた売却価格に異論を唱えることは現状ではあり得ません。(心の中でどのように思っているかは分かりませんが・・・)
 「小牧市財産処分審査会への付議」は、形式的なもので、「売払い価格の適合性」を立証できるものではありません。 

 私は、今回1月23日になって、記者会見時の説明資料をホームページに掲載したことは、山下市長の市有地売却に係わる違法性・不当性を一層明らかにすることとなったと判断いたします。
 「墓穴を掘った」ということであります。